グラストラッカーのテールランプから電源を取り出す方法|USB電源用に安全に分岐する

ギボシ端子カシメ

ツーリング中にスマホのナビや充電を使いたいと考えたとき、バイクへのUSB電源の取り付けは避けて通れないカスタムのひとつです。しかし、「どこから電源を取ればいいのか」「配線はどう分岐すればいいのか」など、電装系に不慣れな方にとってはハードルが高く感じる部分でもあります。

本記事では、SUZUKI グラストラッカー250を例に、テールランプの配線から電源を分岐してUSB電源を取り付ける方法を、実際の作業手順とともに解説します。

あわせて、安全性の考え方やヒューズの選び方についても触れているため、これから電源取り出しに挑戦したい方の参考になる内容になっています。

本記事の内容は、筆者の実体験をもとにした一例です。作業方法や結果を保証するものではありません。
電装作業はショートや故障のリスクを伴うため、作業は自己責任で行い、必ずご自身の車両の状態を確認したうえで実施してください。不安がある場合は、専門ショップへの依頼をおすすめします。

テールランプから電源を取るメリット・デメリット

グラストラッカーのシートを外した状態

今回は、キャンプツーリング時にリアキャリアボックス内のモバイルバッテリーへUSB給電することを前提に、テールランプ配線から電源を分岐しています。この用途では配線をリア側で完結できるため、テールランプから電源を取る方法は相性の良い選択といえます。

ただし、メリットだけでなく注意点もあるため、両方を理解したうえで判断することが重要です。

メリット

テールランプから電源を取る最大のメリットは、キーON(エンジンON)で通電する連動電源を簡単に確保できることです。USB電源を常時電源にすると、使用していないときでも微弱に電流が流れ、バッテリー上がりの原因になることがありますが、テールランプ連動であればその心配はありません。

また、今回のようにリア側にUSB電源を設置する場合、電源の取り出し位置が後方にあるため、長い配線を前方から引き回す必要がないのも大きな利点です。配線の取り回しがシンプルになり、見た目もスッキリ仕上がります。

さらに、テールランプ周辺の配線はシートを外せばアクセスしやすく、タンク下と比べて作業難易度が低いのもポイントです。配線作業に慣れていない方でも取り組みやすい位置と言えます。

デメリット

一方で注意すべきなのが、テールランプ系統の配線は比較的細いという点です。もともと大きな電力を扱う前提ではないため、USB電源であっても過剰に電力を取り出すと、許容範囲を超えてしまう可能性があります。

そのため、テールランプから電源を取る場合は、単に分岐するだけでなく、配線の太さや使用電力の確認を行い、分岐直後にヒューズを追加するなどして安全性を確保することが前提になります。

また、スマホやナビ用途でハンドル周りにUSB電源を設置する場合は、フロントまでの配線距離が長くなる点にも注意が必要です。その場合は、ホーンやブレーキスイッチなどフロント側の配線から電源を分岐した方が、結果的に取り回しが簡単になることもあります。ただし、いずれの方法でも「キーONで通電する電源から取る」という構造は基本的に同じです。

必要なパーツ・工具

電工パーツ

グラストラッカーにUSB電源を設置するために使用したパーツと工具を紹介します。今回の配線作業で使用し、できるだけ安全性と確実性を高めるために、最低限そろえたものを中心にまとめています。これが必ずしも正解とは限らず、安全性をどれだけ高め、リスクをどれだけ許容するかによって、内容が変わる点には注意してください。

パーツ類

まずは配線に必要なパーツからです。ここは仕上がりと安全性に直結するため、できるだけ妥協しないのがおすすめです。

名称用途商品リンク
USB電源充電用USB電源本体【PR】Amazonで購入する
配線0.75sqUSB電源の延長や取り回しに使用【PR】Amazonで購入する
ヒューズホルダー ※1ヒューズの接続【PR】Amazonで購入する
ヒューズ(5A) ※1配線の保護【PR】Amazonで購入する
ギボシ端子セット配線の接続【PR】Amazonで購入する
絶縁テープ 接続部分の絶縁・保護【PR】Amazonで購入する
結束バンド(インシュロック)配線の固定【PR】Amazonで購入する

1バッテリーから直接電源を取る場合は、ヒューズが必要ですが、既存の回路から分岐させる場合は、製品側にヒューズが付いているので、基本的に取り付けは不要です。

工具類

次に工具です。基本的な電工工具があれば問題ありません。また、電源の配線を識別するためにテスターを使用します。配線のミスは回路や周辺機器を損傷させるリスクがあるため、必ず確認した上で作業を進める必要があります。

名称用途商品リンク
電工ペンチ被覆を剥く・ギボシ端子のカシメ【PR】Amazonで購入する
テスター通電の確認【PR】Amazonで購入する
ソケットレンチボルトの取り外し【PR】Amazonで購入する
ハンダごて(非推奨)配線の接続【PR】Amazonで購入する

今回はハンダづけで電線を分岐させていますが、ハンダはバイクの振動によって割れる可能性があるという意見もあります。さらに、はんだづけや端子のカシメは施工が不十分だと通電不良を起こしたり、最悪の場合はショートや発熱の原因になることもあります。作業自体は難しくありませんが、不安がある場合は事前に手順をよく調べるか、詳しい人に確認しながら進めると安心です。

必要なもの自体はシンプルですが、「ヒューズ」「配線の太さ」「接続の確実性」は安全性に直結する重要なポイントです。このあとの手順では、実際にテールランプ配線から電源を取り出す方法を順番に解説していきます。

電源の取り出し位置

テールランプの配線の位置

グラストラッカーのテールランプ配線のコネクタはシート下にあります。シートは2点のボルトで固定されているだけなので、比較的簡単に取り外すことができます。

シートを外すとテールランプへつながる配線コネクタが確認でき、ここから電源を取り出すことが可能です。

電源を分岐させる方法としては、メインハーネス側から分岐させる方法と、テールランプ側の配線から分岐させる方法があります。今回は作業性を重視し、テールランプ側の配線から分岐しています。

なお、分岐する際はプラスとマイナスの配線を正しく識別する必要があります。配線の色だけで判断せず、テスターを使って通電を確認してから作業するのがおすすめです。

実際に行った電源分岐の手順

ここからは、実際に行った電源分岐の手順を紹介します。必ずしもこの手順が正解というわけではないため、あくまで参考としてご覧ください。

また、グラストラッカーは年式や社外パーツの有無によって、テールランプの形状や配線色が異なる場合があります。作業前には、必ずご自身の車両で確認してください。

※手順ではヒューズを取り付けていますが、既存のヒューズ付き回路から電源を分岐する場合は、製品側にもヒューズが内蔵されているため、追加のヒューズは基本的に不要です。

テールランプ配線を確認

まずはテールランプの配線を確認します。テールランプは3極カプラーで接続されており、以下の3本で構成されています。

  • アース(マイナス)
  • テールランプ用の電源(プラス)
  • ブレーキランプ用の電源

配線の色と役割

配線の色と役割は、今回の車両では以下の通りでした。

配線の色配線確認方法
灰色電源(プラス)キーONで常時通電
白/黒ブレーキランプキーON+ブレーキ時のみ通電
黒/白マイナス(アース)常に0V
3極コネクタの配線の色

配線の確認方法

テスターのマイナス端子をバッテリーのマイナス(または車体のアース)に接続し、プラス端子を各配線の端子部分に当てて、キースイッチ操作やブレーキ操作による電圧の変化を確認します。

  • キーONで常に通電する配線 → テール電源(プラス)
  • キーON+ブレーキ時のみ通電 → ブレーキランプ
  • 常に電圧が0Vの配線 → マイナス(アース)

このように動作で判別すれば、配線色が異なる場合でも確実に識別できます。

安全性の確認(電流とヒューズの考え方)

今回の電源分岐では、テールランプ回路にUSB電源を追加するため、事前に電流の上限を確認しておきます。

まず、テールランプに使用されている電球バルブの仕様は「12V 21W/5W」です。これは、テール(5W)とブレーキ(21W)の2つの回路を持つ電球で、それぞれの消費電力を表しています。

電流は「電力(W)÷電圧(V)」で求められるため、以下のように計算できます。

  • テール点灯時:5W ÷ 12V ≒ 約0.42A
  • ブレーキ点灯時:21W ÷ 12V ≒ 約1.75A

両方が同時に点灯した場合、最大で約2.2Aの電流が流れる可能性があります。

次に、例えばUSB電源は一口最大18Wを使用する場合は、

  • 18W ÷ 12V ≒ 約1.5A

となります。

これらを合計すると、

  • テールランプ最大:約2.2A
  • USB電源:約1.5A
  • 合計:約3.7A

となります。

この値をもとに、今回は5Aのヒューズを使用しています。3.7Aより少し余裕を持たせつつ、過電流時には確実に回路を保護できるバランスです。

また、使用している0.75sqの配線は、一般的に約6A前後の電流に対応しています。そのため、万が一過電流が発生した場合でも、配線がダメージを受ける前にヒューズが切れる設計になっています。

※バッテリーから直接電源を取る場合は、ヒューズが必要ですが、既存の回路から分岐させる場合は、製品側にヒューズが付いているので、基本的に取り付けは不要です。

分岐接続(ハンダ )

分岐させる配線(灰色)が特定できたら、実際に電源を分岐していきます。今回はヒューズホルダーを使用するため、まず電源配線とヒューズホルダーの配線を接続します。

作業性を高めるため、テールランプは車体から取り外した状態で作業しています。

端子の向きに注意

ギボシ端子やヒューズホルダーを使用する場合、メス端子は必ず電源側に接続します。電源側にオス端子を使ってしまうと、万が一外れた際に金属部分が車体に触れ、ショートするリスクがあるためです。

分岐接続の手順

まず、分岐する電源配線の被覆を約5mm程度剥がします。このとき電線を傷つけないよう、カッターで軽く切り込みを入れてから慎重に剥がします。

同様に、ヒューズホルダー側の配線も被覆を剥がします。こちらはケーブルストリッパーを使うと確実です。

電源の配線とヒューズホルダー(メス)

被覆を剥がしたら、電源配線にヒューズホルダーの配線を巻き付け、機械的に固定したうえでハンダ付けを行います。

配線の分岐
ハンダ付けの様子
ハンダ付け後の配線

最後に、接続部分を絶縁テープでしっかりと巻き、導線が露出しないよう保護します。絶縁テープは、軽く引っ張りながら巻くのがポイントです。引っ張ることでテープが収縮し、密着性が高まります。

絶縁テープで分岐した配線を保護

ハンダ接続の注意点

ハンダ接続は確実に導通させることができますが、振動の多いバイクでは接続部が割れて、断線しやすくなるリスクがあります。

今回は以下の対策により、ある程度の安全性を確保しています。

  • 配線をしっかり巻き付けて機械的に固定している
  • 絶縁テープで保護している
  • ヒューズを挿入している

ただし、長期的な信頼性を重視する場合は、ハンダ接続はあまり推奨されません。

より安全な方法

より確実な方法としては、以下の構成がおすすめです。

  • ギボシ端子での接続
  • 収縮チューブによる絶縁・保護

この方法であれば、振動による断線リスクを抑えつつ、メンテナンス性も確保できます。

ヒューズを取り付ける

配線の分岐が完了したら、ヒューズホルダーにヒューズを装着し、端子の取り付けを行います。

ヒューズ

まず、USB電源へ接続するためのメス側ギボシ端子を取り付けます。

ギボシ端子(メス)とスリーブ

端子の取り付け手順

端子を取り付ける際は、以下の手順で作業を行います。

  • ケーブルの被覆を約5mmほど剥く(ケーブルストリッパーを使用すると確実です)
  • メス側端子のスリーブを入れる
  • 芯線を端子に差し込み、電工ペンチでかしめる
ケーブルの被覆を5mm剥いた状態

このとき、まず大きい側で軽く仮止めし、その後小さい側で本かしめを行うと、確実に固定できます。

端子のカシメの様子

かしめ後は、ケーブルを軽く引っ張り、端子が抜けないことを確認してください。

芯線のカシメ

被覆部分の固定

芯線の固定が確認できたら、被覆部分も同様にかしめます。これにより、引っ張りや振動による負担を分散させることができます。

作業完了

端子にスリーブを被せたら、電源の分岐作業は完了です。

ギボシ端子とスリーブ

配線の取り回しと固定方法

テールランプから電源を分岐したあとは、基本的に元の配線ルートに沿って取り回しを行います。

テールランプを車体から取り外して作業した場合は、元の位置に戻したうえで、結束バンドを使用して配線を固定します。配線が宙に浮いた状態(フリー)にならないようにし、振動による断線や接触不良を防ぐことが重要です。

配線と結束バンド

動作確認の方法

配線の固定が完了したら、最後に電源が正しく供給されているかを確認します。

確認方法は、配線確認時と同様にテスターを使用します。

分岐した電源側にテスターのプラス端子を当て、バッテリーのマイナス端子、または車体のアース部分にマイナス端子を接触させます。この状態でキーをONにし、約12Vの電圧が確認できれば正常です。

テスターで電圧の確認

問題なく電圧が確認できたら、USB電源を接続し、実際に給電できるかをチェックします。

実際に作業して感じたこと

USB電源の取り出し方法はひとつではありません。バッテリーから直接電源を取る方法やリレーを使う方法、アクセサリー電源から分岐する方法、今回のようにテールランプやホーンから分岐する方法など、さまざまな選択肢があります。

また、配線の分岐方法についても同様で、調べるほど多くのやり方が見つかります。そのため、特に初心者にとっては「どの方法を選べばよいのか」で迷いやすいと感じました。

実際に作業を進める中でも、例えば以下のように意見が分かれるポイントがあります。

  • ハンダ接続は避けるべきか、それとも問題ないのか
  • ヒューズは必ず追加すべきか、機器側のヒューズで十分なのか

このように、同じ作業でも考え方や優先するポイントによって判断が異なるのが実情です。

今回紹介した方法も、あくまで一つの実例です。安全性・作業性・メンテナンス性など、何を重視するかによって最適な方法は変わります。

そのため、本記事の内容をベースにしつつ、「自分の用途に合っているか」「より適した方法がないか」を比較しながら検討するのがおすすめです。

▶︎実際にUSB電源を取り付けた様子や手順は、こちらの記事でまとめています。

▶︎グラストラッカーのメンテナンス項目と交換目安を、走行距離別に整理しています。次に何を点検・交換すべきか確認したい場合は、こちらのまとめ記事が便利です。

まとめ

今回は、テールランプの配線から電源を分岐し、USB電源を取り付ける方法を紹介しました。

ポイントを整理すると、以下の通りです。

  • テスターを使って正しい配線を特定する
  • 分岐後はヒューズを入れて安全性を確保する
  • 配線は確実に固定し、擦れや振動によるトラブルを防ぐ
  • 使用する電流を把握し、回路に無理のない範囲で運用する

電源の取り出し方法や配線の処理にはさまざまなやり方があり、どれが正解というよりも、用途や優先するポイントによって最適解が変わります。

今回の方法はあくまで一例ですが、「なるべくシンプルに取り付けたい」「最低限の構成でUSB電源を使いたい」という方には、現実的な選択肢のひとつです。

安全面に配慮しながら、自分の使い方に合った方法でカスタムを進めてみてください。

▶︎バイクツーリングやキャンプの総合情報はこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

SHARE