前回のグラストラッカー・リアタイヤ交換に続き、今回はフロントタイヤ交換にチャレンジしました。DIYで作業すれば、費用の節約になるだけでなく、バイクの構造をより深く理解する良い機会にもなります。これからタイヤ交換をしてみようと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、タイヤの適合情報・使用した工具・リアタイヤ交換手順については、以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。⬇️
グラストラッカーのタイヤ交換・適合表まとめ|費用と手順をわかりやすく解説
グラストラッカーのフロントタイヤ交換手順【DIY整備ガイド】
ここでは、グラストラッカーのフロントタイヤ交換手順を、初心者にもわかりやすく紹介します。
ただし、本記事の内容はあくまで個人の作業記録・参考情報です。実際に作業を行う際は、必ず サービスマニュアルを確認し、正しい手順と規定トルクを守ること を強く推奨します。
免責事項
本記事を参考にした作業で発生した不具合・事故・損害について、当サイトは一切の責任を負いません。作業はすべて自己責任でお願いいたします。
①アクスルシャフトとブレーキキャリパーマウントを緩める
まず、アクスルシャフトとブレーキキャリパーマウントをレンチで緩めます。この作業は、ジャッキアップをする前に行うのがポイントです。タイヤを浮かせた状態でナットを緩めると、車体が不安定になり転倒の危険があります。
アクスルシャフト固定ボルトは、6mmの六角レンチで緩めます。※完全に取り外す必要はありません。軽く緩める程度でOKです。

アクスルシャフト本体は、12mmの六角レンチで緩めます。このサイズは一般的な工具セットに含まれていない場合が多いため、事前に別途用意しておきましょう。

ブレーキキャリパー固定ボルトは、ソケットレンチ(14mm)で2本とも緩めておきます。

最初の緩め作業は「力がかかる工程」なので、車体を地面にしっかり設置した状態で行うと安全かつ効率的です。
②ジャッキアップをする
グラストラッカーは社外マフラーの装着などでエンジンの真下にエキパイ(排気管)が通っている場合、安定して支えるポイントが限られるのが難点です。

そのため、サイドスタンド側に木材をかませて高さを調整し、反対側をジャッキでゆっくり持ち上げる方法をとりました。フロントタイヤが地面から浮いて、手で軽く回転できる状態になったら、車体のバランスを必ず確認しましょう。このとき、少しでも不安定に感じた場合は無理に作業を進めず、バイクスタンドや補助具を使用して安全を優先することが大切です。

フロント側を持ち上げる際は、サイドスタンドの角度とジャッキの位置のバランスが重要です。作業前に軽く持ち上げて、どの位置が安定するか試しておくと安心です。
③ブレーキキャリパーとスピードメーターケーブルを取り外す
フロントタイヤが地面から浮いたら、ブレーキキャリパーとスピードメーターケーブルを取り外します。

スピードメーターケーブルは手で回して外せることが多いですが、固着している場合はラジオペンチを使って回すとスムーズです。

ブレーキキャリパーを外したあとは、ブレーキホースに無理なテンションがかからないように、ロープや針金でフロントフォークやハンドルに吊るして固定しておくと安全です。

④ホイールの取り外し
事前に緩めておいたアクスルシャフトを抜き取ります。このとき、スペーサーやスピードメーターギアが同時に外れる場合があるため、落下させないよう注意してください。

すべて外れたら、フロントホイールを慎重に取り外します。

無事フロントタイヤを外すことができました。

⑤タイヤをホイールから外す
タイヤ交換の作業には、木枠ベースがあると非常に便利です。ホームセンターで販売されている木材を組み合わせれば、簡単にDIYで作成可能。ホイールを安定して支えられるため、作業中のケガや部品の破損を防げます。

詳しくは木枠ベースの作り方はこちらの記事をご覧ください⬇️
まず、エアバルブキャップを外し、タイヤの空気を抜きます。またこの時に取り付け時の向きを間違えないよう、ホイール側にローテーションマーク(回転方向の印)をつけておくと安心です。

次に、虫回しドライバーを使って虫バルブ(エアバルブの中のコア)を取り外します。


続いて、チューブバルブ固定ナットを緩めましょう。

空気が抜けたら、タイヤレバーを使って片側のビードを外します。

片側が外れたら、チューブを傷つけないように丁寧に取り出します。

その後、もう片側のビードも同様にタイヤレバーでめくり上げて、タイヤを完全にホイールから外します。


⑥リムバンドを外しホイールを清掃する
リムバンドを外し、ホイールの汚れやサビをしっかり落とします。清掃後、リムバンドに傷や破れがないかを確認し、問題なければ再利用します。

⑦新品タイヤにビードクリームを塗る
新しいタイヤの内側と外側のビード部分に、ビードクリームを均一に塗ります。これによりホイールへの組み込みがスムーズになり、密着性も高まります。

⑧新しいタイヤを組む
まずタイヤレバーを使って、ホイールに片側のタイヤをはめ込みます。
ローテーションマークを確認し、タイヤの黄色い軽点をエアバルブ位置に合わせます。これはホイールの最も重い部分(エアバルブ)とタイヤの最も軽い部分(黄色マーク)を合わせてバランスを取るためです。

続いてチューブを入れ、バルブナットを軽く仮止めします。このとき、チューブに少しだけ空気を入れておくと、ねじれや噛み込みを防ぐことができます。

チューブを挟み込まないよう注意しながら、もう片側のビードをホイールにはめ込みます。

タイヤがしっかりと装着できたら、虫バルブを取り付け、バルブナットを締め付けます。

最後にエアコンプレッサーで1.75kg/cm²まで空気を入れます。もし圧力が上がらなかったり、エア漏れ音がする場合は、チューブに穴が開いている可能性があります。

⑨ホイールの取り付け
まず、アクスルシャフトやスペーサーをパーツクリーナーで清掃し、グリスアップします。

その後、ホイールを車体に取り付け、アクスルシャフトを仮締めします。仮締めを終えたら、ジャッキをゆっくり下ろして車体を安定させましょう。

次に、ブレーキキャリパーとスピードメーターケーブルを取り付けます。ブレーキキャリパーのマウントボルトは、トルクレンチを使用して39N・mの規定トルクで確実に締め付けましょう。

続いて、フロントフォークを数回上下させて芯出し(アライメント調整)を行います。その後、アクスルシャフトを65N・mで本締めし、最後にアクスルシャフト固定ボルトを締めて作業完了です。

仕上げとして、タイヤを回して異音がないか、ブレーキが正常に作動するかを確認してください。問題がなければ、フロントタイヤ交換作業は完了です。

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まとめ
グラストラッカーのフロントタイヤ交換を自分で行うことで、費用を節約できるだけでなく、バイクの仕組みやメンテナンス知識も身につきます。DIYなら自分のタイミングで作業でき、工具さえ揃えれば今後も何度でも活用可能です。
作業は多少難易度が高く、初めての場合はトラブルや時間ロスもあり得ます。特にチューブの噛み込みやビード上げの際は慎重に行う必要があります。しかし、安全対策をしっかり行い、手順通りに進めれば、初回でも十分作業可能です。
DIYでのタイヤ交換は、費用節約だけでなく、自分の手で愛車を整備する楽しさも味わえる作業です。これを機に、メンテナンスの幅を広げてみてください。








