ヘルメットといえば、やはり SHOEI や Arai といった日本を代表するトップブランドが有名ですよね。世界的にも高い評価を受けていますが、近年は価格が上昇傾向にあり、5万円〜10万円台が当たり前 という時代になってきました。
そのため、「もう少し手頃で、安全性も確保できるヘルメットが欲しい」と考えるライダーも増えてきています。
実際、私自身も以前は日本製ヘルメットを愛用していましたが、ここ数年は 海外メーカーのヘルメット に切り替えました。使ってみると、安全性や快適性、そしてデザイン面でも想像以上に優れていることに気づかされます。
今回はそんな経験をもとに、安全性・デザイン・コスパを兼ね備えた海外ヘルメットブランド を厳選して紹介します。
海外ヘルメットを選ぶ際のポイント
海外ブランドのヘルメットは、デザイン性や価格の面で魅力的ですが、日本国内で安全に使用するためには、安全規格の確認が欠かせません。
以下のポイントを押さえておくことで、安心して選ぶことができます。
- PSCマークとSGマーク が付いているヘルメットを選ぶ
- JIS または ECE認証 のあるモデルを選ぶ
- SNELL規格は、主にサーキット走行などの競技向けに設けられた安全基準であり、一般的な公道走行ではオーバースペック
- 並行輸入品 はPSC/SG認証が無い場合があるため要注意
特に公道走行を前提とする場合、PSCマークとSGマークの有無 は「法律上の使用可否」や「製品欠陥の賠償」に関わる非常に重要なポイントです。必ず日本国内正規品、または認証を受けた製品を選びましょう。
安全規格の基礎知識(PSC・SG・DOT)
まずは、日本国内で公道使用が認められる最低限の基準から押さえておきましょう。
PSCマークとは
PSC(Product Safety of Consumer Products)マークは、経済産業省が定めた法律に基づく「国の安全基準」です。このマークがないヘルメットは、乗車用として販売することが法律で禁止されています。
つまり、PSCマークがないヘルメットは違法販売品ということになります。
SGマークとは
SG(Safe Goods)マークは、製品安全協会が定める任意認証で、PSCよりも一段上の安全基準を満たす製品に付けられます。また、SG認証には最大1億円までの賠償制度があり、万一製品の欠陥で事故が発生した場合でも補償が受けられます。
多くのヘルメットは、PSCとSGがセットのラベルとして表示されており、これが付いていれば国内使用での安全性は十分といえます。
DOTマーク(アメリカ規格)
DOT(Department of Transportation) は、アメリカ運輸省の安全基準です。最低限の公道用安全基準を満たすことを意味しますが、日本ではPSC/SGの代替にはなりません。
DOTマークのみの並行輸入品を日本の公道で使用した場合、万が一の事故時に保険や法的なトラブルになる可能性があるため注意が必要です。
工業規格(JIS・ECE・SNELL)
ヘルメットの性能を評価する上で重要なのが、工業規格(任意認証) です。これらは取得義務はありませんが、安全性を示す大きな目安になります。
JIS規格(日本工業規格)
JIS(Japanese Industrial Standards) は日本の国家規格で、非常に厳しい安全テストをクリアした製品にのみ与えられます。
- JIS 1種:125cc以下のバイク用
- JIS 2種:排気量無制限(大型バイク対応)
衝撃吸収性・耐貫通性・あご紐強度など、多項目にわたるテストが行われます。OGK Kabutoが2019年にJIS認証取り消しを受けた件が話題になりましたが、これは書類管理上の不備であり、安全性自体には問題がなかったとされています。
ECE規格(欧州経済委員会)
ECE(Economic Commission for Europe)はヨーロッパで最も広く使われている規格です。最新の ECE 22.06(2020年改訂)では、従来よりも厳しい「斜め衝撃試験」「回転加速度測定」などが追加されています。
「クラッシャブル構造によって内部の頭部を守る」という設計思想が特徴で、多くの欧州メーカー(AGV・SHARK・LS2・MTなど)が採用しています。
SNELL(米国)
SNELL(スネル財団) はアメリカの民間試験機関が定める任意規格です。世界でも最も厳格な安全試験の一つであり、特にレース用ヘルメットで高く評価されています。
ただし、公道走行においては必須ではなく、一般ライダーにとってはオーバースペック気味と言えます。
サイズ感とフィット感の注意点
海外ヘルメットを選ぶ際に最も注意したいのがサイズ感の違いです。多くの欧米ブランドのヘルメットは、横幅が狭く縦に長い(欧米人向け)設計になっています。そのため、日本人のように横に広く丸い頭型(丸型頭)のライダーが被ると、「こめかみが圧迫される」「頬がきつい」といった違和感を感じることがあります。
- 国内正規代理店経由のモデルは、日本人向けにサイズ調整済みの場合がある
- 並行輸入品はサイズ感が異なり、フィットしないことも多い
近年では、「アジアンフィット」や「Japan Fit」モデルを展開するブランドも増え、日本人でも快適に被れる設計のものが登場しています。
最も確実なのは、実店舗で試着してから購入すること。ネット購入の場合は、ワンサイズ大きめを選び、インナーパッドで微調整するとフィットしやすくなります。
コスパ抜群!おすすめ海外ヘルメットメーカー一覧
HJC(韓国)
HJCは、1971年創業の韓国ヘルメットメーカーです。本社の広大な工場をはじめ、中国やベトナムにも生産拠点を持ち、年間100万個以上のヘルメットを生産しています。世界シェアではオートバイヘルメットの世界一を誇り、エントリーレベルからハイエンドまで幅広いグレードの製品を展開しています。
日本国内では、アールエスタイチが正規代理店として販売しており、国内正規品すべてが PSC規格・SGマーク・JIS規格 を取得しているため、安心して公道で使用できます。
MotoGPライダーの中では、Fabio Quartararo(Yamaha)やBrad Binder(KTM)などがHJCヘルメットを使用していることで知られています。
価格帯は、エントリーモデルで1万5千円〜と非常に手頃で、コストパフォーマンスの高さも大きな魅力です。


LS2(スペイン)
LS2(エルエスツー) は、スペイン・バルセロナに本社を構える世界的ヘルメットブランドです。高い安全性・デザイン性・コストパフォーマンスを兼ね備え、ヨーロッパをはじめ世界100カ国以上で支持されています。
もともとは中国のMHRヘルメットが起源で、2007年に LS2ブランドとしてスペインに本社を移転しました。最新の安全基準 ECE規格 に加え、モデルによっては DOT(アメリカ)認証 も取得しており、日本国内正規品では PSC・SGマーク に対応しているため、公道走行にも安心です。
MotoGP(主にMoto2やMoto3などの下位クラス)やスーパーバイクのライダーもサポートしており、レース現場でも信頼されるブランドです。
さらに、日本人の頭部形状に合わせて設計された 「JAPAN FIT MODEL」 もリリースされており、国内ライダーにも注目の海外ブランドとなっています。
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AGV(イタリア)
AGV(Amisano Gino Valenza) は、1947年にイタリアで創業された、世界でも最も歴史あるヘルメットメーカーのひとつです。社名は、創業者 Gino Amisano(ジーノ・アミサーノ) の頭文字に由来しています。
AGVといえば、やはりMotoGPのレジェンド “ヴァレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi)” の存在が有名です。デビュー当初からAGVヘルメットを愛用し、長年にわたってその安全性と快適性を証明してきました。
日本国内の正規販売店で取り扱うAGVヘルメットの内装は、アジアンフィット(日本仕様)。日本の法令に準拠した SG・PSC規格 を取得しており、公道でも安心して使用可能です。さらに、ECE 22.06認証 も取得しているため、国際基準における安全性も確保されています。。
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Nolan(イタリア)
Nolan(ノーラン) は、イタリアに本社を置く老舗ヘルメットブランドで、1972年に創業されました。高い安全性と耐久性、そしてコストパフォーマンスの良さで、ヨーロッパを中心に世界中のライダーに支持されています。
Nolanは、自社ブランド Nolan のほか、軽量モデルの X-Lite やジェットヘルメットの Grex など、幅広いラインナップを展開。最新の ECE 22.06規格 に準拠したモデルが多く、日本国内の正規代理店を通じて PSC・SGマーク対応モデルも入手可能です。
MotoGPやスーパーバイクの公式サポート実績もあり、レースで培った安全技術を市販モデルに反映している点も大きな魅力です。比較的手頃な価格帯のモデルも多く、コスパ重視のライダーにおすすめのブランドです。
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これから注目の海外ヘルメットメーカー
MT Helmets(スペイン)
MT HELMETS(エムティーヘルメット) は、1968年にスペインで設立された老舗ヘルメットブランドです。正式名称は Manufacturas Tomás, S.A. で、50年以上にわたりヘルメットの開発・製造を行っており、現在では 世界100カ国以上で販売されています。
MTの最大の特徴は、「高い安全基準とデザイン性を、手頃な価格で提供する」というブランド哲学です。ヨーロッパの厳しい安全基準 ECE 22.06 をクリアしたモデルを中心に展開しており、コストパフォーマンスに優れたブランドとして、世界中のライダーに支持されています。
また、2025年Moto3に参戦する日本人ライダー・山中琉聖選手 が所属するチームのメインスポンサー を務めていることでも注目を集めています
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Shark(フランス)
SHARK Helmets(シャークヘルメット) は、1986年にフランス・マルセイユで創業されたプレミアムヘルメットブランドです。創業者は元GPレーサーのTeston 兄弟。「レースで勝てるヘルメットを作る」という信念のもと、開発段階からライダー目線での安全性と快適性を徹底的に追求してきました。
現在では、ヨーロッパを中心に 世界80カ国以上で販売され、「レーステクノロジーをストリートへ」を体現するブランドとして高く評価されています。
MotoGPやスーパーバイク世界選手権のトップライダーも使用する信頼のブランドですが、残念ながら日本国内の正規販売代理店は撤退しており、国内正規品の入手は現在難しい状況です。エントリーモデルからハイエンドまで幅広いラインナップを持ち、コストパフォーマンスの高さ でも定評があるだけに、今後の 日本市場での再展開 に期待が寄せられています。
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海外ヘルメット比較表
| ブランド名 | 国 | PSC/SG認証 | 主な安全規格 | 日本人向けモデル |
|---|---|---|---|---|
| HJC | 韓国 | 有り(日本正規品) | JIS/ECE | 有り(Asian Fit) |
| LS2 | スペイン | 有り(日本正規品) | ECE | 有り(Japan Fit) |
| AGV | イタリア | 有り(日本正規品) | ECE | 有り(Asian Fit) |
| Nolan | イタリア | 有り(日本正規品) | ECE | 一部有り |
| MT Helmets | スペイン | 一部有り | ECE | なし |
| SHARK | フランス | 一部有り | ECE | なし |
安全対策は装備+保険で万全に
ヘルメットやプロテクターで身を守ることはもちろんですが、万が一の転倒や事故に備えるなら、信頼できる保険の加入も重要です。今の保険内容を見直したい方は、無料の一括見積もりサービスを活用してみましょう。
【PR】▶︎あなたに最適のバイク保険見つかります!!◇保険の窓口インズウェブ◇まとめ:海外ヘルメットで広がる選択肢 — コスパ重視派からレース志向派まで
海外ブランドのヘルメットは、安全性・デザイン性・コストパフォーマンスのバランスに優れ、日本製ヘルメットの価格高騰を受けて、今注目が集まっています。
日本国内で購入しやすいブランド
以下のメーカーは日本正規代理店があり、PSC・SGマーク付きの正規品を安心して購入できます。
| ブランド | 特徴 |
|---|---|
| HJC(韓国) | 世界シェアNo.1。コスパ・品質・デザインの三拍子揃った万能ブランド。 |
| LS2(スペイン) | 高い安全性とデザイン性を両立。日本人向け「JAPAN FIT」モデルも登場。 |
| AGV(イタリア) | ロッシ愛用ブランド。ECE 22.06対応でレース志向のライダーに人気。 |
| Nolan(イタリア) | 快適性・静粛性に優れたツーリング向けブランド。 |
これらのブランドは、国内販売店や通販サイトでも容易に入手でき、安全規格の適合やアフターサポート面でも安心です。
これから注目の海外ブランド
下記のブランドは世界的には高い評価を受けていますが、日本国内では正規販売網が限定的または撤退済みです。
| ブランド | 特徴 |
|---|---|
| MT Helmets(スペイン) | ECE 22.06対応の高品質モデルを低価格で提供。世界100カ国で展開中。 |
| SHARK(フランス) | MotoGPで実績のあるレーシングブランド。国内販売代理店撤退中。 |
これらは個人輸入で入手可能ですが、日本の法令で定められたPSC・SGマークがないモデルも多いため、公道使用には注意が必要です。
総評:自分のスタイルに合った“ベストヘルメット”を
- コスパ重視 → HJC・LS2
- デザイン・ブランド志向 → AGV
- 快適性・ツーリング派 → Nolan
- 海外トレンドを先取り → MT・SHARK
用途や好みに合わせて選べば、ライディングの満足度が大きく変わります。海外ブランドのヘルメットで、あなたのツーリングスタイルをもう一段階アップグレードしてみてください。




