バイクお断りの街?「由布院」に行ってみた|駐輪場事情と観光地のリアル

バイクツーリングで由布院、立ち寄りにくいって本当?

大分県の人気の観光スポット「由布院」ですが、バイクツーリングの目的地としては、実は少々行きにくい街なんです。

その理由は、観光客の増加に伴い、由布院周辺には無料の駐車場がほとんどなく、すべてが有料。しかも多くの駐車場が二輪の駐車に対応していないという現状があります。そのため、やまなみハイウェイを走るツーリングでも、これまで由布院をスルーすることが多く、気になりつつも素通りしてきました。

とはいえ、せっかく由布院の近くまで来たので、少し立ち寄ってみたい気持ちもある。でもバイク駐輪場を検索しても、なかなか情報が出てこない…。

そこで実際、私と同じように「駐輪場所が見つからずに通り過ぎてしまっているライダーも多いのでは?」と思い、バイク駐輪場の調査も兼ねて、由布院に立ち寄ってみることにしました。

唯一見つけた貴重なバイク駐輪スポット

とりあえず、由布院の街をバイクでぐるっと一周してバイクが停められそうな場所を探してみました。観光地らしく、車用の駐車場の案内は数多くあるものの、バイク専用や二輪OKの駐輪場に関する案内はほとんど見当たりません。道を行ったり来たりしながら探し続け、ようやく見つけたのが、国道沿いにあるコインパーキング。場所はちょうど由布院駅と金鱗湖の中間あたりに位置しており、由布院の観光スポットを徒歩で巡るにはちょうどいい立地です。

ただし、駐車可能時間は9:00〜17:00の間のみ。早朝ツーリングや、夜に立ち寄る場合には利用できないので注意が必要です。このコインパーキングは前払い制で、料金は300円。音声ガイダンスで駐車方法が案内されます。

バイクに関しては、発券された駐車券をハンドル周りに取り付けるようにという音声案内がありました。「風の強い日は飛ばされたりしないかな…?」と少し不安に思いつつも、駐車券をハンドルに挟み、念のためスマホで駐車券の写真を撮っておきました

あおねの小径パーキング

住所:大分県由布市湯布院町川上3015-4

営業時間:9:00-17:00

料金 
平日:1日1回9:00-17:00 ¥700 
土・日・祝: 1日1回9:00-17:00 ¥1,200
バイク:1日1回9:00-17:00 ¥300 

※2025年7月時点の料金です。情報が変更されている場合がありますので、ご利用の際は必ず現地の表記をご確認ください。

観光地としての由布院は「外国人向け」?

田園風景と由布岳を望む、落ち着いた雰囲気の温泉地として知られていた由布院。しかし近年、そのイメージは大きく変わりつつあるようです

実際に街を歩いてみて、まず驚いたのは外国人観光客の多さ。すれ違う観光客の体感では約8割が外国人という印象で、周囲からは中国語や韓国語が飛び交い、店舗の案内表示も多言語対応が当たり前になっていました。日本語がほとんど聞こえてこないという、ある意味「異国のような空間」に感じたほどです。

通りにはおしゃれなカフェや和雑貨の店が立ち並び、観光地らしい賑わいを見せてはいるものの、その価格帯や商品の構成を見ると、明らかにインバウンド観光客を意識した内容。日本人の感覚からすると「ちょっと違うな…」「観光地価格すぎるかも」と感じてしまう場面も少なくありませんでした。

由布市観光客データ(2024年)

2024年(令和6年)の由布市観光動態調査によると、外国人観光客の割合は全体の約38%を占めており、国別の比率では半数を占める韓国をはじめ、台湾・中国・香港などアジア圏からの旅行者が約85%を占めているという結果が出ています。

区分2024年人数前年人数対前年比全体に対する比率
日本人 日帰り客1,760,8841,848,11595.28%46.2%
日本人 宿泊客1,092,6321,163,73793.88%28.7%
外国人 日帰り客1,141,561804,901141.83%29.9%
外国人 宿泊客302,826225,675134.19%7.9%
合計4,297,9034,042,428106.31%100.0%

このデータを見る限り、私が感じた「観光客の8割が外国人だった」という体感は、やや大げさだったのかもしれません。とはいえ、由布院の中心部に限って言えば、外国人観光客の存在感が圧倒的だったのは間違いありません。

特にアジア圏からの旅行者が多いため、ヨーロッパの観光都市のように、「近隣の国から続々と旅行者が訪れている」という感覚に近いものがありました。

オーバーツーリズムの現実と静けさの消失

もともと由布院といえば、温泉街としての「癒し」「静けさ」や自然との調和が魅力だったはずです。しかし現在では、観光バスと人混みであふれる通りが中心地を占拠し、風情ある街並みや景観をゆっくり楽しむ余裕はほとんどありません。

実際に歩いてみると、歩道も狭く、車が往来するたびに立ち止まらなければならないような状況でした。由布院のような小さな温泉地にとって、観光客の急増はキャパシティの限界を超えているように思えます。

また統計データからも、以下のような傾向が見て取れます:

  • 外国人観光客は前年比+40%以上の増加
  • 一方で日本人観光客は前年比約▲5~6%の減少

このような傾向が続く中で、日本人が「混雑」や「街の変化」を敬遠しはじめている可能性も否定できません。

私が訪れたのは平日でしたが、それでも外国人観光客であふれており、観光施設や店舗は非常ににぎわっていました。地域経済への貢献という面では確かに大きな存在であり、また、外国人観光客が日本文化や温泉街の雰囲気を楽しんでいる姿を見ると、この問題が一筋縄ではいかない複雑なテーマであることを強く感じました。

バイク乗りとしての総括|正直、リピートは悩む…

由布院の街は、整備が行き届き、街並みも美しく、観光地としての完成度は非常に高いと感じました。ですが、バイクで気軽に立ち寄れる場所か?という問いに対しては、残念ながら「NO」と答えざるを得ません

まず最大のネックは、バイク駐輪場の圧倒的な少なさ。車と違って省スペースで済むバイクが停められる場所がほとんどないのは、少し冷遇されている印象を受けます。本来であれば、バイクツーリング客にももっと優しくても良いはずですが、そうした配慮はあまり感じられませんでした。

さらに街の雰囲気は、完全に外国人観光客向けにシフトしているため、日本人観光客にとっては少々居心地の悪さを感じる場面もあります。とはいえ、街は賑わい、食べ歩きスポットやショッピングには事欠きません。にぎやかな観光地を楽しみたい人には、それなりに価値のある場所とも言えるでしょう。

ちなみに人気の観光スポット「金鱗湖」は、想像よりもコンパクトな印象で、正直少し拍子抜け。ダイナミックな自然を感じたい人には、やまなみハイウェイを走る方が断然おすすめです。

金鱗湖

最後に、人気の金賞コロッケ(200円)を食べてみました。衣はサクサク、中はほんのりスパイシーでトロッとしたじゃがいもが美味。店員さんが流暢な韓国語で接客していたのも、今の由布院を象徴しているようで印象的でした。

まとめ|それでも行くなら事前リサーチ必須!

由布院は街全体が整備され、観光地としての魅力は十分。ただし、バイクで訪れる場合は注意点がいくつかあります。

  • バイク駐輪場は非常に少ないため、事前に場所を調べておくことが必須。気軽に停められる場所はほとんどありません。
  • 平日でも観光客で混雑しているので、静かな街歩きを期待するとギャップを感じる可能性も。
  • 観光の中心は外国人向けに最適化されており、昔ながらの素朴な温泉地を期待するとギャップを感じるかも

もし、静けさの中で心身を癒すような旅を求めているなら、あえて由布院を外し、やまなみハイウェイや阿蘇方面の絶景ルートを走る方が、バイク旅としての満足度は高いでしょう。

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