「角田裕毅がリザーブドライバーに降格した」
この結果に、納得できなかった人のほうが多いはずです。
- 角田のマシンは遅かった
- レースエンジニアとの相性が悪かった
- 最新パーツが回ってこなかった
- フェルスタッペンと同じチームでも、マシンは別物
- 戦略がいつも不利だった
「これで結果を出せという方が無理だろ」
そう感じたファンは、決して少なくありません。むしろ、そう思うのが普通です。
実際、F1はドライバー1人で戦うスポーツではありません。マシン、戦略、チーム判断。そのどれか一つが欠けるだけで、順位は簡単に落ちます。
だからこそ、
「角田は本当はもっとやれた」
「チームに潰された」
「評価される前に切られた」
そう考えたくなる気持ちも、よく分かります。
でも…
もし、そのすべてを踏まえた上でもそれでもなおリザーブという判断が下されたとしたら?
この記事では、感情論や擁護を一度だけ横に置いて、数字だけを使って整理します。
角田は本当に「被害者」だったのか。それとも、F1という世界ではそれでも足りなかった何かがあったのか。
角田はポイントを稼ぐ力がチーム内で一番少なかった|データで見る現実

まず、結論からはっきり言います。
直近の2023〜2025年の決勝データ(スプリントレースを除く)を見ると、角田裕毅はレッドブル系ドライバーの中で、「1レースあたりの平均獲得ポイント」が最も低いドライバーでした。
| ドライバー | 参戦レース数 2023-2025 | 総獲得ポイント | ポイント獲得レース数 | ポイント獲得率(%) | 1レース平均ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| マックス・フェルスタッペン | 70 | 1318.0 | 68 | 97.1 | 18.83 |
| アイザック・ハジャー | 24 | 50.0 | 10 | 41.7 | 2.08 |
| リアム・ローソン | 35 | 44.0 | 10 | 28.6 | 1.26 |
| 角田裕毅 | 70 | 64.0 | 22 | 31.4 | 0.91 |
角田は70レースに出場し、獲得したポイントは合計64ポイント。1レースあたりに換算すると0.91ポイントです。この数字は、同じ期間に走った他のドライバーと比べると、差がはっきりと見えます。
- マックス・フェルスタッペンはほぼ毎レースでポイントを獲得し、1レース平均18.83ポイント。
- アイザック・ハジャーは24レースと参戦数は少ないものの、平均2.08ポイントを記録しています。
- リアム・ローソンも派手な成績ではありませんが、平均1.26ポイントと、角田より多くのポイントを持ち帰っていました。
一方、角田は平均獲得ポイントが最下位で、ポイント獲得率は約31%。つまり、3レースに1回しかポイントを獲得できていない計算になります。
チームメイトとの比較で分かる角田の予選の速さ

角田裕毅の勝率データを見ると、数字の上では 「確かに速い」 ことが分かります。過去5シーズンを振り返ると、チームメイトとの対戦での成績は次の通りです。
| シーズン | チームメイト | 予選勝率 | 決勝勝率 |
|---|---|---|---|
| 2021 | ガスリー | 4.55% (1勝21敗) | 22.73% (5勝17敗) |
| 2022 | ガスリー | 40.91% (9勝13敗) | 36.36% (8勝14敗) |
| 2023 | デ・フリース/リカルド/ローソン | 72.73% (16勝6敗) | 59.09% (13勝9敗) |
| 2024 | リカルド/ローソン | 75.00% (18勝6敗) | 54.17% (13勝11敗) |
| 2025 | ハジャー/フェルスタッペン | 4.12% (1勝23敗) | 8.33% (2勝22敗) |
ここで見えてくること|角田の速さと課題
2021年のF1初年度は、経験豊富なガスリー相手に苦戦した角田。しかし2022年には大きく成長し、予選・決勝ともにほぼ互角の戦いを見せました。
2023〜2024年は、予選でチームメイトを上回ることも多く、一発の速さではチーム内でも確かな存在感を示しています。角田にはマシンの限界を引き出す力が十分あることが、数字からも分かります。
Q3進出率は悪くない|一発の速さはチーム内でも存在感
| ドライバー | レース参戦数(予選) | Q3進出率(回数) |
|---|---|---|
| マックス・フェルスタッペン | 70 | 92.9%(65) |
| フェルナンド・アロンソ | 70 | 70.0%(49) |
| アイザック・ハジャー | 23 | 69.6%(16) |
| ピエール・ガスリー | 69 | 40.6%(28) |
| 角田裕毅 | 69 | 33.3%(23) |
| アレクサンダー・アルボン | 68 | 30.9%(21) |
| リアム・ローソン | 35 | 28.6%(10) |
| ニコ・ヒュルケンベルグ | 70 | 27.1%(19) |
| エステバン・オコン | 68 | 23.5%(16) |
| ランス・ストロール | 69 | 23.2%(16) |
角田の予選成績を見ると、Q3進出率は33.3%(23回/69戦)。チーム内外のトップ勢と比べると差はありますが、決して低くありません。一発の速さを見せる場面もあり、ローソン(28.6%)や中団勢より確実に優れた瞬間があります。
次のパートでは、なぜその速さが決勝結果に必ずしも反映されなかったのか、一緒に見ていきましょう。
決勝で順位を落としやすい課題|安定感の改善が鍵
| ドライバー | 予選 平均順位 | 決勝 平均順位 | 決勝 順位差 | 決勝 標準偏差 |
|---|---|---|---|---|
| マックス・フェルスタッペン | 3.14 | 2.90 | -0.24 | 3.39 |
| アイザック・ハジャー | 9.67 | 11.79 | +2.13 | 4.58 |
| 角田裕毅 | 12.36 | 12.97 | +0.61 | 3.78 |
| リアム・ローソン | 12.80 | 12.83 | +0.03 | 4.04 |
角田の予選平均順位は12.36位とチーム内ではまずまずですが、決勝では平均12.97位と、予選より少し順位を落とす傾向があります(順位差+0.61)。
また、標準偏差3.78(順位のばらつきはおおよそ±4位)を見ると、決勝での順位変動もある程度あります。しかし、この数字は特別に大きいわけではなく、F1ドライバーの中ではどちらかというと安定傾向にあります。
比較すると、リアム・ローソンは予選12.80位に対して決勝12.83位とほぼ変わらず(+0.03)。決勝で順位をキープする力では角田より安定しています。一方で、フェルスタッペンは予選3.14位から決勝2.90位へとさらに順位を上げることもあり、トップドライバーとの差がここで明確に表れています。
つまり、角田は予選での速さは十分にあるものの、決勝で順位を落としやすいことが課題でした。この「予選の速さ」を決勝でもしっかり結果につなげること。これが実現できていれば、チーム内でも存在感を高められていたはずです。
ハジャーも似たタイプ。でも「順位の高さ」が違った
角田と似た傾向を見せるのがアイザック・ハジャーです。ハジャーも予選より決勝で順位を落とすことが多く(+2.13)、角田と同じように決勝での順位キープが課題です。
ただ大きく違うのは、そもそもの順位の高さ。ハジャーの平均予選順位は9.67位、決勝は11.79位と、角田より上位に位置しています。
つまり、角田は「予選での速さはあるけれど決勝で少し落ちやすい」という点ではハジャーと共通していますが、レース中のポジションや戦略の面で、まだポイント圏内に踏みとどまる力が課題と言えます。
逆に言えば、この部分を改善できれば、角田は再びトップドライバーに迫る存在になれる可能性があります。
ローソンは派手じゃない。でも点を持ち帰っていた
リアム・ローソンは予選12.80位、決勝12.83位と、順位差はほとんどなく安定しています(+0.03)。角田やハジャーのように順位を大きく落とすことは少なく、地味ながら着実にレースをまとめるタイプです。その安定感のおかげで、派手な速さは見せなくても、着実にポイントを持ち帰ることができました。
角田にとっては、この「安定して完走・ポイントを稼ぐ力」が今後の成長ポイントになります。予選の速さを決勝でも活かしつつ、ローソンのように落ち着いて順位をキープできれば、チーム内でもさらに信頼されるドライバーになれるはずです。
チームはなぜ角田を降格させたのか|統計が示す判断の背景

角田の速さは、予選で十分に示されています。しかし、予選の速さが決勝結果につながりにくいこと、そして順位の安定性に課題があることが、数字からも明らかでした。チームとしては、順位の安定性やポイント獲得の確実性も重視せざるを得ません。
実際、角田は決勝で順位を落とすことが多く、ハジャーと同じタイプではあるものの、上位で戦えるかどうかはまだ不安定でした。一方で、ローソンのように派手さはなくても地道にポイントを稼げるドライバーは、チームにとって戦略上の信頼度が高い存在です。
こうした予選の速さと決勝での安定性のギャップが、チームが角田をリザーブドライバーに「降格」させた大きな理由と考えられます。ファンとしてはもどかしい部分もありますが、裏を返せば「決勝での安定感さえ加われば、もっと上位で戦える力がある」とも言えます。
角田がF1復帰を目指すには何が必要か|ファン目線で分析

角田には、予選でマシンの限界を引き出す一発の速さがあり、チーム内でも確かな存在感を示しています。一方で、決勝では順位を落としやすく、安定感という課題が長期データからも明らかになっています。
ファンの間では「マシンが遅かった」「戦略が不利だった」といった声もあります。しかし、3年間の統計を見ると、単発の不運や不利だけで結果が左右されるわけではありません。これはどのドライバーにも当てはまることです。仮に陰謀のようなものがあったとしても、長期間のデータを見る限り、角田だけに継続的に不利が集中することはほぼあり得ません。
つまり、復帰して結果を出すためには、予選での速さを決勝でも結果につなげる経験の積み重ねが不可欠です。また、レース中の状況判断や、順位を維持するための戦略的なレース運びをさらに磨くことも重要になります。
とはいえ、予選と違い、決勝の結果はチームの戦略や判断に大きく左右されるのも事実です。ファンとしては、角田が実力を最大限発揮できる環境を望みたくなるのも自然でしょう。条件が整えば、予選で見せている速さを決勝でも生かしやすくなり、上位争いに加われるポテンシャルは十分にあるはずです。
データの詳しい中身を知りたい人へ
こちらの記事では、今回の分析で使用した予選・決勝順位や完走率などの詳細データをまとめています。数字ベースで角田の成績をじっくり確認したい方は、あわせてご覧ください。
まとめ|角田の強みと課題、復帰への期待
角田裕毅は、予選でマシンの限界を引き出す一発の速さという明確な強みを持つドライバーです。この点は長期データから見ても疑いようがなく、F1レベルで十分に通用する武器と言えます。
一方で、決勝では順位を落としやすく、安定感やレース運びが今後の課題として浮かび上がります。単発の不運や戦略ミスだけで語れる問題ではなく、経験の積み重ねによって克服していく必要があります。
復帰して結果を残すためには、予選の速さを決勝に結びつける力、そして不利な状況でも順位を守り切る力が欠かせません。F1という厳しい世界では、環境に左右されず結果を出し続ける力が評価されます。
数字が示す通り、角田のポテンシャルは本物です。今後の成長とチャンスに期待しながら、冷静に見守り、応援していきたいところです。



